ゆずなんばん(柚子南蛮…多分こういう漢字になると思う)「ゆず」はそのまま、「なんばん」は東北地方で言うところの唐辛子=タカのツメのこと。山形の大石田地方の農家で冬になると家庭用に作られるすこぶる美味しい辛味調味料。鍋の薬味に良し、納豆やみそ汁に混ぜ込んでも美味い。そのまま白いごはんに少量のせて醤油をたらりとかけただけで、おかわりが出来る程。初めて食べたのは阿久悠S藤の嫁K美のお父上の実家から送って来たものを分けて貰った。私がとても気に入ったのを見てK美の母上がお土産にもたせてくれ、それ以来冬になると毎年土Y家から分けて貰っていた。ある年、作り方を訊ねたら、わざわざ大石田に電話をかけて「生の南蛮と柚子を山ほど刻んで(手作業!)麹(甘酒のもと…という言い方だった)を入れて3ヶ月程漬込む」というアバウトな情報。最近はあまり作らなくなった…とも。そのまま冬の柚子南蛮を貰わなくなって何年経つだろう。5年程前だったか、たまたまS藤の家に行った折に久しぶりに少しだけ分けて貰った。その際に前記の作り方を確認したら、電話をかけて訊いた事すら覚えておらず、その上「そんな作り方じゃないよ!」だって。おいおい…さて、そのまま捨て置いていた柚子南蛮なのですが、急に最近「作ろうかな」という考えが浮上して来た。一つは最近買ったフードプロセッサー、もう一つは最近簡単に手に入る塩麹。どうせ失敗する可能性が高いのなら、きちんとした作り方(だって、生の唐辛子を刻むなんて…手はどういう事になるのだろう??)ではなく簡単に実験して似た物が出来ればラッキー!程度で。こんなに失敗を織込み済みの実験的な料理は初めて。
…で、やってみました。柚子がメッチャ高かったのでレモンを使い、生の唐辛子がなかったので乾燥ものを酒に浸して少し戻して。レモンは安い輸入物で、皮をゴシゴシ洗いながらも「この程度では有害な薬品はとれないなあ…発がん物質満載!」とか思いながら。しかもレモンは、最近はまっている自家製ポン酢(これは、瓶の中に昆布と鰹節を適量入れて、柑橘酢:米酢:醤油を5:10:10位の割合にして2〜3日置いておくと出来る)に使った搾りかすから種を取って皮をざく切りにした。これにやはりざく切りにしたタネごとの唐辛子を加えてフードプロセッサーにかけてさらに塩麹を適量加えてもう一かき混ぜ。ホンモノとは随分違うけど、とりあえずこれを常温(最近寒いし)で熟成させて観察してみる予定。
ゆずなんばん観察日記(2012/11/22 16:00)
充分気をつけたつもりなのに、まな板や道具を洗った手はピリピリ。目も痛い…タカのツメ恐るべし!これを手作業でやるなんて。貴重な冬の味覚だったんだと改めて実感。昔の人はエラかった。ここから熟成して少しは似たものになるのだろうか?次回の観察日記をお楽しみに。これが最終回になったりして(笑)
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