Amazonから、谷啓のエッセイ「ふたつの月」が届いた。小林信彦のエッセイ(週刊文春連載)で存在を知り、すぐに注文した。昔から谷さんのファンだった。クレイジーキャッツの中で、一番センスが良いと感じていた。
この本の内容(狂気のオリンピック’64は、かなり可笑しい)もさることながら、本の帯にある青島幸男の言葉が気に入った。
「やさしくて、繊細で、思慮深く、鈍感で、図々しくて、独善的な、この いとしくも、難解な天才的人物の本当の姿はいったい何なのだ? 一読更に 不可解。」
なんとも愛のある文章…青島さんと谷さんの関係、友情、すべてがここに凝縮されている。青島さんと谷さんが、いかにも楽しそうにテレビの中で絡んでいるのを見るのが好きだった。
正にこういう人だった…と思う。思える。一度だけ仕事でご一緒した時に、この人の不思議な感覚が手に取るように判った。私はといえば、ただのファンが憧れのスターに出会っただけで、何も話せずに同じ現場にいるという空気を感じるだけで楽しかったことを思い出す。