昨日は行きつけの「Mず家」本年初日…昨年末にご挨拶しなかったので。
カウンターで常連のRラさんのお隣に。その時に話した内容についてずっと引っかかっていて考えさせられている。
彼女はご主人とともにクラシックファンでコンサートにもしょっちゅう足を運んでくれる。ご主人は自身でBrahmsの研究団体を立ち上げ、同人誌的な出版物も刊行している人物。我々(広い意味…私のいる業界という意味で)の大事なお客さん。当然、色々な細かい事にも精通していて、話も通じると思っていた。
話の内容はI(地名)の第九コンサートについて。その地域の皆さんが集って合唱を担当し、1年の練習の成果を、プロのオーケストラとソリストを呼んで毎年発表するという、よくある第九公演の形。その公演で共通の知人であるCとご主人が偶然会った…という他愛のないものから始まった会話で、もちろん私はその演奏すら聴いていない。
Rラさん曰く
R「なんだかひどい本番だったんですってねえ」
私(う〜ん…OrchもSolistもたいした事ないだろうしなあ)「いえ、私は聴いてないので判らないです」
R「そもそも、楽章ごとに拍手が来ちゃうような演奏会だったみたいだから…」
私(そっちかい!別にエーやん…)「いや、アメリカはそれが普通ですよ。アメリカの人はその事をちょっと気にしていたりもして 笑。日本でも、私はこれまでたくさん経験していますよ」(拍手じゃなくお辞儀をしてくれる所もあったけど、この話はしない方が良いな…)
R「あの拍手の時、ちょっとだけ客席向いて会釈する指揮者がいるけど、あれもどうもねえ〜。あれやらない方がいいですね」
私(え〜!?そうかあ…)「でも、ステージの上で拍手貰って、無視する訳にもいかないじゃないですか、でしょ?」
R「ああ、なるほど、そうねえ。でも…」
私「歌舞伎でもお芝居でも、途中で大向こうから声がかかるでしょ?オペラでもバレエでも、良いソロや難所を見事にクリアした時には拍手するじゃないですか。思わず出る拍手なら、演奏している方は嬉しいと思いこそすれ、迷惑なんて思わないですよ。」
などという会話をしながら、、ぜーったいにこの方には伝わっていない、かみ合ってないという思いで、早々に話題を変えた。きっとご主人が(多分彼の方がもっと強く)こういう伝え方をして「こんな事があって、ひどかったんだよ」「あらあら、それはひどいわね」「所詮、その程度の…」的な会話だったんだろうと想像出来る。
…あ〜あ〜、なんだかなあ
なんで、こういうお作法から入っちゃうんだろう。また、それを要求する演奏者(私の仲間)もいるから始末が悪い。もっと気楽に音楽を楽しもうよ。高尚なクラシック音楽を趣味としているからには、上から目線「カネモ」発言の方が似合うのだろうか。そう思ってらっしゃる方も多いんだろうなあ。そういう立ち位置が好きな方が多いというべきか。
私はずっと聴いてくださる人の側に立って演奏する事を、自分にも仲間に要求していた。本気でファンを増やしたいなら当然の事。これについて興味のある方は「たまには本音で」と題した大論文(なにせ1〜3まである!)笑…を読んでみてください。
でもなあ…聴いてくださる側の方が「下々のものとは一線を画す、高尚な世界の一員」…的な感覚を楽しんでいるのなら、オレは売り方を間違ってるよなあ。今回の伝わらない感は、私が売り方を間違っているという事か。それならこのままファン層はかわらず、拡大はしないという事に繋がると思うけど、でも、それで良いのかも。
なんだか、どーでもよくなってきた…もうやめちゃおうかなあ、この世界。