最近読み始めた、桂米朝師(上方落語の重鎮・人間国宝)の「米朝よもやま話」。関西のラジオ番組を活字に起して新聞に連載されたものをまとめた本です。(どーでもエーけど=私の話は殆どこれですが=活字に「起こす」って? イメージ的には「寝かせ」る感じ。喋ってる言葉は立体的で活字は平面的なイメージがある・・ホンマにどーでもエーなあ!)
そもそも私は活字が好きで、中毒かも。電車の中で(別に興味もないような内容でも)わざわざ席を立って中吊りを読みに行くことがある。本が好きなのは私の仕事で役には立つのですけどね。一人で時間を潰す「技」は必須条件。なぜなら、Tubaは基本的にオーケストラに一人しかいないし、東京ではない仕事場だと私一人だけ旅に出ている状態。オーケストラの他のメンバーはそれぞれの生活の場がある。リハーサルも曲によって私一人で先に終わってしまう=要するに一人で暇!=ことも少なくない。どうしても一人で本屋=他に模型屋、文具屋、玩具屋さんなど=で時間を潰し、気に入った本を買って居酒屋で一人酒盛りしてホテルへ帰るというのが定番コース、なのです。
最近「iPod」を使い始めて特に思うけど「本を読む」のと「モノを聴く」のは、全く違う神経を使っていますね。「ながら族」←古!は、私には無理。 どちらかしか出来ない。一度にやるとどちらか(殆どの場合両方とも)が疎かになって、結局頭に入らない。しかも最近の私は、読む方は「老眼」←哀!(しかし、私の話は、なかなか本題に行かないね。上方落語のテイストかも?最初の「フリ」はどこへ行った?)
その一節(どの?最初の米朝よもやま話・・やっと帰って来た!)に、昔の旅興行の話が描いてあり、 顎・足・枕 アゴ アシ マクラと言う言葉が。懐かしい言葉です。意味がお解りでしょうか? これは、食事(アゴ)交通(アシ)宿泊(マクラ)の意味で、これらが主催者持ちの仕事を「アゴアシマクラ付でギャラは¥○×円」という言い方をしました。過去形なのは最近使わないからで、私が仕事をし始めた30年程前には現役の言葉でした。今では皆が「ギョーカイ用語」と言っている芸能界の隠語も、もとはこちらから出た言葉が殆どで、オーケストラやジャズのプレーヤーが出来たばかりの放送業界に流れ、それが芸能界に拡まったものです。そもそもは人前では憚られる話を隠語として使用していたもので、他人の前であからさまにしたくないお金の話をする時には、数字(1・2・3)を音名で「C・D・E(ドイツ語でツェー・デー・エー)」と言ってみたり、女性の事も短調(ドイツ語でmoll)を更にひっくり返して「ルーモ」なんて言ってました。先日仕事でご一緒した若いジャズプレーヤーに、「Nしださん、昭和のプレーヤーだね」って笑われたくらい最近は言いません。トイレは「イレト」食事は「シーメ」。昨日四谷のバーで飲んだ女性→「昨日F谷のアーバでミーノしたルーモ」ってな具合でした。要するに人前では言いにくい事を仲間内で喋るためです。
私が大学を卒業したてで、N響(伏せ字になってない!)に仕事に行ったら、出演料の明細に「車馬賃」(←これは別に業界用語ではない)という項目がありました。・・・目がテン!状態でした。さすがにN本放送協会ですなあ。交通費・・とは書かない!当時、NHKは「日本薄謝協会」の略という悪口も聞きました。
ちなみに、ドサ回り(田舎廻りの興行の意)の「ドサ」は、佐渡をひっくり返したものが語源らしく、その昔、流刑地であった佐渡の金山での労役(採掘で出る水を運ぶ)があまりに辛かった事から、このような言い方になったという事です。