上質の文化

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すこし前の話ですが、BS放送で「キングスシンガーズ」のコンサートを見ました。

例の「最近外食についてます」の頃で、満足して帰ってきたらたまたま放映されており、「ああ、まだ元気で歌ってるんだ」と嬉しくなって夜中なのに最後まで。NHKが嫌いで、意地でもチャンネルをNHKには合わせないようにしているのですが、つい最後まで見てしまった。それくらい素晴らしかったのです。

美味い酒と食事を楽しんで、良い音楽を聴いて・・・贅沢だけど、人間って、こうじゃなくっちゃ!これこそ「文化」というものです。文明じゃない・・・(テレビだけどね。やっぱり劇場で聴かなくっちゃあ本物ではないね。テレビは文明だなあ・・)

で、見ながら感じた事。

まず、イギリスの品の良い上質なユーモアの事。PJBEにはもちろん、JamesGalwayを聴いた時にも思った事。私にはとても心地よい。センスの問題だから伝わりにくいかもしれません。すごく微妙ですが、とにかく心地よい。決して観客には迎合しないのですが、きちんとお客さんに目が向けられて、相手の事を感じ考えている。よくある「この程度まで落とせばついてくるだろう」・・的な上から目線ではない。クラシックの世界で「底辺を拡げたい」みたいなことを言う人がたくさんいるのですが、どれだけ偉そうやねん!ちょっと敷居の高い(←だろう事は認めます)クラシック音楽を理解してもらうためには「啓蒙」活動も必要なんだけど、それを演じ手側が上から目線になっちゃ伝わらないよ!・・というか、別にそれを理解しているからと言ってエラい訳でもスゴい訳でもなんでもない。

自分たちが好きな事を、他の人にも楽しんでもらうために、解りにくい事は説明するという作業。自分たちも精一杯演って、しかも楽しんでいる。彼らの演奏からこれが伝わってくる事が心地よい。

なんだか色々考える事があって、大阪出身(メールの内容が大阪弁です)の友人のオーマンディー(←しつこいな!)にメールをしたのが以下のやりとり。

KingsSingersの公演をテレビでやってた。

久しぶりに聴いたけど、面白かった。

RenaissanceからBeetlesまで。日本の歌も!

巧いのは当然で、最低条件だけど、イギリス人のユーモアって、どうしてあんなに程が良えんやろう。上質・ジェントルマンの国って感じ。

コンサートの間中ずっと、客の事を感じている、気にしているって感じ。

お客を楽しませよう、って。その空気感が心地よい。

ああいう事をやらなきゃなあ。日本のお客は、いつまでたっても増えへん。

彼らは、超難解な現代音楽をやっていても、客を楽しませようという雰囲気を感じる。

これに対して彼の返事は、

「僕らのメッセージが伝わってる?って気遣ってくれている感じがした。」

「解りやすいからといって、どの団体でも同じような流行のプログラムを組む、安易さと能力の無さはいややなあ。」とも。

演奏する側の基本的な姿勢が違うんや。

ちゃんとした事を演って、お客さんを楽しませようよ。

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